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脳梗塞 片麻痺

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脳梗塞 片麻痺

脳梗塞 片麻痺について

このページでは脳梗塞、脳出血の後遺症による、肢体麻痺に有効的な治療法である、鍼灸の「頭皮鍼(頭鍼)」についてご紹介します。

元々私自身が機能訓練型のデイサービスや、脳卒中(脳血管疾患をまとめて脳卒中といいます)による四肢の麻痺の方を対象にした、訪問鍼灸マッサージ院に勤めていた為、脳卒中の後遺症に悩む方に触れ合う機会が多く、鍼灸学校でも脳血管疾患の治療を中心に調べ勉強していました。

結果、卒業レポートで参考にした「頭皮鍼治療のすべて」の著者である、浅野周先生に弟子入りして現在があります。

頭皮鍼はいくつかの流派がありますが、どれも一定に効果が見込まれ、だれがやっても効果が期待できる鍼治療です。当然、経験や技術の差に効果の差が出るところも多少ありますが、知識とある程度の技術があれば効果が見込まれるものです。

中国や韓国では、「脳卒中のリハビリ=鍼治療+リハビリ」が一般的です。

今ではアメリカ、ドイツ、ブラジルなど海外でも多く行われており、日本でも一部の病院や鍼灸院で行われています。国内で有名なのは、山本敏勝医師のYNSAです。世界でも有名な頭針(頭皮鍼)の巨匠です。

日本では鍼灸の保険診療に制限が大きく、あまり病院に組み込むところが多くないので認知されません。日本国内より、診療に制限の少ない海外でのほうが有名になっています。

他には、朱明清先生の朱氏頭皮針が、わかりやすい理論なので使われることが多いです。私も初めは朱氏頭皮針から入りました。頭皮針はどの流派でも大きくは治療ポイントが変わりません。基礎理論が同じだからです。その為、どの鍼灸師でも効果が期待できる再現性のある、とても有効的な治療法です。

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頭皮鍼とは

頭皮鍼とは、頭部の皮下に刺鍼して、手技やパルスを用いて行う反射療法の一種です。頭皮に刺鍼することで、刺鍼位置の直下の脳血管が拡張することを利用して、障害された脳の機能局在の位置に刺鍼することで、改善をはかる鍼治療です。

頭皮鍼は頭皮の筋肉層に刺鍼することで、頭蓋骨が間に入った状態でも脳の大脳皮質に血管拡張を起こします。脳卒中では脳の細胞に虚血状態が起きてしまい、脳細胞が機能しなくなったことで、様々な後遺障害が出ます。この障害された脳細胞や、その周りの血行循環を良くすることで、細胞を回復させて機能や後遺障を改善させるのです。

ただし、リハビリテーションと同じで、脳細胞が虚血状態で長期間経過してしまうと、改善が難しくなります。基本的に3ヶ月以内は良く効果が期待でき、そこからどんどん改善が悪くなります。

ですが、個人差が結構あり半年たった状態や、1年経過した状態からも、失語症や四肢の痙性麻痺が改善した例があるので、完全に細胞が死んでいない仮死状態のような部分があるのではないかと考えられます。そういった細胞は血流が改善されると復活して、そのまま血流が改善されないと細胞が死んでいくのだと考えます。どちらにしても、早期から治療するのに越したことはありません。

リハビリテーションと併用すると、効果もさらに期待できますので、リハビリ期間から週に1回でもいいので行うことをおすすめします。

頭皮鍼の現状

日本の病院では、鍼灸を行うことがほとんどありません。

ですが、鍼灸は戦後に研究が行われた結果、科学的に軸索反射や鎮痛鎮静効果、転調効果、血管拡張など色々な反応を引き起こすことで、様々な症状に効果があることが確認されました。

「頭皮鍼」はなぜ効果があるのか?これも検査機器の発達でわかるようになりました。

脳の血流を確認できる機械が出来たことで、頭皮鍼後の検査時、脳血管の拡張から血流の改善が起こることが、研究でわかるようになりました。

でも、日本国内では「鍼灸=民間療法」のイメージが強く、あまり認知されません。国外では抵抗がなく多くの国で利用される治療法になっています。

当院では、朱氏頭皮針と焦氏頭針の理論を中心に、頭皮鍼を行っています。基本的にどの流派も脳の機能局在をベースに取穴しますので、大きく刺鍼位置が変わることがありません。

朱氏頭皮針や焦氏頭針は取穴が取りやすく、症状や部位に応じてシンプルに作られていますので、当院ではこれらの理論と「患部と頸部」の刺鍼を同時に行い改善を図っています。

患部自体は、痙性麻痺やなどの筋肉の過緊張状態の筋肉を、弛緩しやすくなるように刺鍼したり、リハビリのように患部から脳に向けての求心性の刺激を発生させるためです。

求心性の刺激によって、仮死状態の脳細胞や神経に興奮を起こさせるのを目的としています。頚部の刺鍼は、脳血流の改善が行われるからです。特に斜角筋や胸鎖乳突筋部などの、椎骨動脈や内頚動脈の上に存在する筋肉が弛緩することで、脳への血流が改善すると考えられるからです。

脳梗塞 脳出血について

脳梗塞は「脳卒中」の一つで、脳の血管が詰まることで、その先に血液が流れなくなり、脳の神経細胞が障害される病気です。

原因は大きく①心原性脳塞栓、②アテローム血栓性脳梗塞、③ラクナ梗塞になります。①心原性脳塞栓症は心房細動などの不整脈が原因で、心臓で出来た血栓が脳に流れてきて詰まることが原因で起こるタイプです。

高齢者に多く、血栓が比較的大きいので、太い血管が詰まり、脳の広い範囲で障害が起こり重症化しやすいです。②アテローム血栓性脳梗塞は脳の血管壁にコレステロールなどがたまり、内膜が破れると血小板が集まることで血管が詰まり、血流が途絶えることで起こります。

糖尿病や脂質異常症が原因になりやすく、症状は徐々に悪化するタイプです。③ラクナ梗塞は脳の細い血管に高い圧力がかかることで血管壁が厚くなり、血流が悪くなり起こるタイプです。比較的若い年齢で起こりやすく、症状も軽く、障害される範囲も小さいです。

脳出血も「脳卒中」の一つで、脳の血管が破れることで生命維持中枢を圧迫し、危険な状態を引き起こしたり、体の麻痺などの大きな後遺症を起こします。

①くも膜下出血、②脳出血に分かれ、①くも膜下出血は脳の表面の動脈が破れ、脳を包む「くも膜」と脳の間に出血が広がる病気です。脳の動脈に出来た「脳動脈瘤」というこぶが破裂するのが原因です。

脳動脈瘤の原因は不明ですが、喫煙や高血圧の方に多く、遺伝もあると考えられています。②脳出血は脳の奥にある細い血管が破れて出血する病気です。脳出血は高血圧などで動脈硬化が進むと血管壁が傷つきもろくなり、破れやすくなります。

脳卒中の後遺症とリハビリ

脳卒中では脳のどの部分を障害されたかで、様々な後遺症が出ます。脳は体を維持コントロールする機関なので、代表的なのは「片麻痺」などの運動障害(脳の障害位置により半身の筋肉の弛緩や緊張性の麻痺)、感覚障害(触覚、痛覚、温度覚、位置覚などの感覚の障害)、視覚障害(片側または両側に視野や複視が起こります。距離感が掴めなくなるのは感覚障害で起こります)言語障害(口や舌がうまく動かせなくなる構音障害、言葉を理解したり、読み書きが困難になる失語症があります)、その他にもめまいやふらつきなど、バランスを保つ部位の障害も起こります。

脳卒中のリハビリテーションは、出来るだけ早期から開始します。動かない時間が長くなるほど筋力は低下して、関節は拘縮をおこします。脳の神経細胞も早期ほど改善が大きいので、3ヶ月がリハビリテーションの重要な期間になります。

初期はベット上で関節拘縮を防いだり、座りや体位変換などの練習を行います。回復期では理学療法士による専門的リハビリテーションを集中的に行います。退院後は維持期といわれ機能の低下を防止する段階になります。

日本国内ですと脳卒中の後遺症に対する友好的な治療は、リハビリテーションやマッサージが主です。ですが、私は頭皮鍼を併用することで、より大きな効果が期待できることを伝えていきたいと思っています。

*頭皮鍼で片麻痺や、上記した様々な症状に効果が期待できますが、発症後から期間が経過するほど、改善の見込みは少なくなります。これはリハビリテーションと同じく、脳神経細胞が回復できる期間が過ぎてしまったからです。

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