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五十肩 

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五十肩 

こんにちは。院長の吉村です。

五十肩(四十肩)は、一般の人が原因を特定するのはとても難しいです。十年以上この業界ににいる私でも、確実に治るとは言えないケースが多々あります。それだけ様々な原因で肩の痛みが発生するからです。

数年前、私がトレーニングジムに通っていた頃、練習中にスタッフの人と絡み合うような形で手をつき、左肩を痛めました。関節がきまったような形だったので「ヤバい!!」と思いながらもなんとかうまく逃れました。ですが、数日しても肩を動かすと痛みがあり、「筋肉か?靱帯か?関節か?」私にも原因がはっきり分かりませんでした。そして一番可能性が高い筋肉性の治療をしても、効果は表れませんでした。

そして後日、肩の骨の位置を観察していると、位置が少しずれているのに気がつきました。「あっ!これだ!」とその時に原因が亜脱臼していることに気が付きました。肩に痛みはあるがどの動きも可能だったので、まさか脱臼だとは思いませんでした。結果的に自分で紐を括り付けて引っ張り、肩をはめ直し整復をしました。

このように肩は痛めた時の状態や状況によって、どこを痛めてもおかしくないので、判断が難しいのです。

筋肉性か、靱帯か、関節面か、骨性か、神経性か、関節内の石灰の蓄積か、内臓からくる関連痛など原因は様々です。

なので、出来るだけ多くの情報を治療者に伝えてください。それが早く原因に行きつくための、改善完治への近道です。

これから説明する内容は、ご存じの方もいると思います。一番症例の多い筋肉性にフォーカスして説明したものです。知っているところはさらっと流してください。

五十肩(四十肩)について

五十肩は、40代50代に多い肩の痛みの総称です。病名ではありませんし、原因も様々です!

主な原因は筋肉性、骨性、軟部組織性、神経性に分かれますが、

一番多い原因は、「ロテータカフ」と呼ばれる筋肉を中心とした、肩関節の動きに関係するする筋肉です。

打撲や脱臼をした後に痛むのでなければ、筋肉性が原因の可能性はかなり高いので、鍼治療をおすすめします!

転倒したり、外傷がきっかけで、患部に強い腫れがある場合は、早期に病院に行き、レントゲンで折れたり外れてないか確認しましょう!

五十肩(四十肩)の原因

五十肩は診断名で言えば肩関節周囲炎とまとめられますが、細かく分類することが出来ます。

その原因に応じて対処が変わりますので、自分の症状に合った治療を選択してください。

五十肩の原因は 、大きくは筋肉性と非筋肉性に分かれます。原因のほとんどは筋肉性が原因になりますのでそちらから説明します

肩の筋肉
肩の筋肉

五十肩の痛みの原因になる筋肉は、①頸背中 ②棘上筋 ③棘下筋 ④肩甲下筋 ⑤三角筋 ⑥烏口腕筋 ⑦上腕二頭筋です。大円筋、小円筋は痛みまで出ることは稀なので、今回は省きます。

これ以外の筋肉の場合、肩こりや背中の痛み、脇の下の痛みに感じます。 動きや痛む場所で原因の筋肉がわかるのです。

筋肉が原因の五十肩の説明の後に、筋肉以外が原因の五十肩について説明します。

五十肩の原因(筋肉)

①首背中(四十肩の夜間痛)

五十肩なのに、なぜ首背中?と思うでしょうが、肩腕の神経は首の筋肉の間を通過して腕に至ります。頸の筋肉の緊張が強くなると、神経を圧迫して肩や腕に痛みや痺れを出すことがあります。

特徴的な症状が五十肩の夜間痛です。夜間痛は「夜や朝方に、首や肩の筋肉が冷やされる」、「睡眠時の筋肉内の血液流入量低下」が原因で筋肉の緊張が高まり、夜中や明け方に痛みが増すのです。

首や上背部の筋肉が改善されてないとそれ以外の肩の筋肉を良くしても2,3日で元に戻ります。これでは根本的な改善になりませんので、軽症ならいいですが、夜間痛が出るレベルで悪化している場合は首背中の改善は必要です。

②棘上筋

棘上筋は肩甲骨の棘上窩から、肩峰の下を通り大結節に付着します。

肩の外転動作を行い、腕を下した状態から外側に腕を上げようとする初動作に痛みが出ます。

肩より上に腕が上がると、三角筋の動きになるので、外転30~45度で負荷をかけて痛むなら棘上筋を痛めてます。

ただし、この動作では棘下筋でも痛むので棘下筋の確認も併せて行いましょう。

それ以外には棘上窩を押して棘上筋の圧痛を確認します。鈍い痛みや鋭い痛みがあれば痛めているでしょう。

③棘下筋

棘下筋は棘下窩から大結節に着く筋肉で、棘上筋とほぼ同じようにつきますが、付着する位置がやや後ろに着くため、痛む位置が肩関節のやや後ろに感じ、外転外旋動作を行います。

確認動作は①の棘上筋と同じですが、親指を内側に向けて外転するとより棘下筋に負荷がかかり解りやすいです。

圧痛は棘下窩に出ます。棘下筋は奥が骨なので圧が分散しないので、圧痛の確認が一番わかりやすいです。

④肩甲下筋

肩甲下筋は肩甲骨の前面から小結節に着く筋で、上腕の内旋を行います。

肩甲下筋を痛めると、バンザイをするような外転外旋をすると、肩の前側に痛みが出てきます。

「肩が上がらない」状態はこの筋肉を傷めていることが多く、「頭が触れない」「頭まで腕が上がらない」と言って来院します。

筋肉自体が肩甲骨と肋骨に挟まれている位置にあり、マッサージや整体お灸などでは直接治すことが出来ません。

有効なのがストレッチと鍼治療です。痛みが小さければストレッチを繰り返してもよくなりますが、痛みまで出ていれば、鍼治療でないと治らないことも多いです。

どこ行っても五十肩が治らないと来院する人は、だいたい肩甲下筋が痛くて腕が上がらないことが多いです。

⑤三角筋

三角筋は肩甲棘から肩、鎖骨の外3分の1から上腕骨にかけて着く大きな筋肉です。動きは前方挙上、外転、後方挙上、内旋外旋のすべての動きに対応します。

ほかの筋肉の付着部を覆うように存在する筋肉なので、痛む位置だけでは原因を判断しずらいです。

ただし、三角筋は圧痛で痛めているかがわかります。腕を台に乗せたような力を抜いた状態で、筋複を押して確認します。前横後ろで痛む部分があれば、その筋繊維が痛めてます。あと90度の外転状態で負荷をかけて痛む場合も三角筋です。

⑥烏口腕筋

烏口腕筋は烏口突起から上腕骨体に着く短い筋肉で、肩関節の前方屈曲を行います。烏口腕筋を痛めると、前方に腕を上げる際に痛んだり、腕を後ろに伸ばそうとすると引き伸ばされて痛みます。痛みは、肩関節の前面に出ます。

⑦上腕二頭筋

上腕二頭筋の長頭腱が関節上結節、短頭腱が烏口突起につきますので、上腕二頭筋の過緊張や反復収縮でも肩に痛みが出ることがあります。

ただし、他の筋肉と比べて稀です。肩関節の前方屈曲や外転動作で痛みが出ることがあり、肘の屈曲動作でも肩に痛みが出ます。

異常に上腕前面の筋肉が緊張していたら、要チェックです。

北京堂鍼灸の鍼治療

北京堂の治療鍼灸は五十肩の原因である、深部の筋肉に直接アプローチが出来る、効率の良い治療方法です。  

五十肩の原因のほとんどが、肩関節にある深部の筋肉です。

これらの筋肉に直接刺鍼することで、筋肉を弛緩させて、負荷がかかったり、伸ばされたりしても痛みが出ないように改善させます。

マッサージやカイロ、整体などは体表に近い筋肉へのアプローチのみですが、インナーマッスルのような深い筋肉に直接鍼を届かせて、筋肉を緩めることが出来るのは北京堂の治療鍼灸の特徴です。

直接刺鍼出来るので、反応も大きく、短い期間、少ない回数が期待できるでしょう。

筋肉性の症状は、鍼を多く、しっかり刺す!これが効率よく改善するためのポイントです!

「本当に治るのか?自分の症状は治るのか?」と感じる方もいるでしょう。残念ながら鍼治療は万能ではありません。骨の変形や関節面に傷がついているような、直接作用できない原因には根本的効果がありません。痛み止め程度です。あなたの症状の原因がハッキリしていないようなら、改善の可能性は十分にあります。痛みで辛い状況を変えたい様なら、試してみて損はないでしょう。

筋肉性以外の五十肩

*ここで説明する内容は、鍼灸やマッサージ、整体では、根本的な改善はできません。痛みの緩和程度の治療しかできません。

筋肉性以外の五十肩には、肩関節の石灰沈着、外傷性、筋断裂性の五十肩症状、変形性肩関節症が原因で、肩に痛みが起こります。

石灰化が原因の五十肩では、夜間に突然生じる痛みが特徴で(筋肉が原因の五十肩だとじわじわ強くなる)、痛みで運動制限が出ます。

40~50代の女性に多く、リン酸カルシウム結晶が腱板内にたまり、固まっていく事により痛みます。

レントゲンで白く石灰部分が確認でき、注射で吸引してリン酸カルシウムを抜き、副腎皮質ホルモンと局所麻酔薬を注射することで改善します。

その他に、高齢だと上腕二頭筋の長頭が断裂する場合があります。

上腕二頭筋の長頭腱が断裂すると、腕の内側にある力こぶの形が、左右で変わります。

長頭が切れても手術は稀で、短頭があるので肘の屈曲の動きはできます。

  腱板断裂が原因の五十肩は、上部で説明した「棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋」が負荷に耐えきれずに断裂した状態です。

ほとんど保存療法で改善を図り、手術はまれです。同じ動きが出来る筋肉が代償できるからです。

  変形が原因の五十肩は、肩関節の骨、軟骨が変形して関節の動きを阻害して、骨同士が当たるところに痛みが出ます。

元スポーツ選手や高齢の方で多く発生します。普通に生活していて、60歳以内で起こるのはかなり稀です。

五十肩の治療法について

現在、五十肩の一般的な治療法はいくつかあります。薬、注射、鍼灸、整体、整骨院、マッサージ、ストレッチなどです。

五十肩は、肩の痛みの総称ですので、原因はさまざまです。同じ五十肩でも、「Aさんは注射で治ったけど、Bさんは注射では治らなくて鍼で改善した」ということになるのです。

ハッキリ言って、一般の方に何が原因かを判断して、適した治療を選択しろというのはとても難しいです!

なので、お近くの鍼灸院や整骨院に相談してみてください。

自分である程度判断したい場合は、参考になりそうな目安をお伝えします。

私ならこう選択するといった例です。

外傷(打撲や肩関節を直接痛めた場合)の際は、痛みが強く、肩が上がらないなどの動きに支障があれば、病院で画像診断(レントゲン)で骨と関節に問題がないかを確認します。

骨折や脱臼を確認して、問題がなければ筋肉や軟部組織(腱、靱帯など)の損傷です。

この場合は、鍼治療、超音波、高圧酸素が組織修復には有効です。

組織のダメージがあるうちは、マッサージやストレッチ、整体はおすすめしませんし、悪化する可能性が高いんで、多分治療者側が断るか、かなり低刺激の治療にするはずです。

痛み止め(飲み薬)は睡眠や安静時でも、痛くてしょうがない様なら使った方がいいと思います。

(そのレベルの痛みなら、確実にどこか折れるか外れてます。湿布は炎症があるうちは有効です。)

きっかけは無いけどだんだん痛くなった場合は、筋肉の過緊張が原因の可能性が高いです。

筋肉は疲労を繰り返すことで過度に緊張して、神経や血管を圧迫することで痛みを出したり、動きの制限が出ます。

このような状態なら、鍼治療、マッサージ、ストレッチ、整体など度の治療もある程度有効です。

表層の筋肉ならどれも効果がありますが、深部の筋肉は鍼治療かストレッチでないと改善が弱いです。

重症なら鍼が特に有効で、軽度ならストレッチでも有効です。

湿布(痛み止め)に関して

湿布に関しては、寝るときに貼ると筋肉の緊張が緩まなくなり、慢性化または悪化することがあります。

抗炎症の成分を含む湿布は、血管収縮が起こるので炎症は改善されますが、筋肉内の血流が悪くなるので筋肉の緊張が緩和されなくなります。簡単に言えば「休んでも筋肉疲労が抜けなくなる」のです。

本来湿布は動く昼間に貼るものですが、コマーシャルで夜に貼るのが出てから、間違った使い方をされるようになりました。

長期間痛み止めに頼っていると、悪化しているのに気が付かないことが多く、治りずらい状態になっている人が多いです。

早めに別の治療にきり変えることをおすすめします!

科学的メカニズム

鍼治療は筋肉に鍼を刺す事で、筋肉内の血管を広げる反射(軸索反射)を起こります。

軸索反射により筋肉内の血管が拡張して、新しい血液が筋肉内に入ります。

新しい血液に含まれる酸素とATPが筋細胞に入ることにより、筋肉は緩み、筋緊張が緩和されるのです。

さらに「詳しいメカニズムについて」はこちら

まとめ

五十肩には鍼治療がとても効果的です。軽症なら平均3~5回で完全に痛みは出なくなります。

ですが、肩が上がらなくなって期間が空くほど、筋緊張が強くなり、安定してしまうので治りずらくなります。

肩に痛みが出たら、早く治療すればそれだけ少ない回数で治るのです。

痛み止めでの治療では、五十肩は根本的に治りません、痛み止めは自然に治るのを待つ治療です。

肩の痛みを治そうと行動するなら、筋肉を改善する治療を行いましょう!

元気な毎日

五十肩は早く治療すれば、少ない回数で、痛みも少なく改善します。

反対に長期間放置すれば、重症化して治りずらくなり、治療回数が多くかかったり、完治しなくなることもあります。

早めに治療することをお勧めします!そして、肩の痛みの無い元気な体を取り戻しましょう!

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