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膝の痛み【鵞足炎、靭帯損傷、変形性膝関節など】

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膝の痛み【鵞足炎、靭帯損傷、変形性膝関節など】

膝の痛み【鵞足炎、靭帯損傷、変形性膝関節症】

膝の痛みはいろいろな原因で起こり、判断が難しい症状の一つです。しかし、ひとつずつ確認していけば原因ははっきりしますので、膝の痛む部分、動きをよく観察してみてください。北京堂鍼灸院では、膝の痛みの一部には鍼治療が有効的なので、基本的に鍼治療が中心です。

膝の痛みの基本的な原因

膝の痛みの原因は、8つに分かれます。骨、骨膜、軟骨、靭帯、筋肉、腱、脂肪体、半月板です。膝のどのあたりに痛みが出るか、関節内に出血や水が溜まっているか、どの動きで痛みがでるかなどで絞り込めていきます。

膝の痛む位置、図の丸く囲んだ部分に、痛みが出る場合と、痛みの位置がはっきりしない場合(本人がわからない)があります。表層に原因がある場合は、痛みの位置がわかるのですが、関節内や膝裏、膝蓋骨下に原因がある場合は痛む位置がはっきりわかりませんので、圧痛やテスト法を用いて膝の痛みの原因を探します。

痛む位置がわかるの場合、外側に痛みがあれば外側側副靭帯、内側に痛みがあれば内側側副靭帯と鵞足炎を疑います。変形性膝関節症と脂肪体、半月板、十字靭帯、膝裏の筋肉やふくらはぎの筋肉が原因の場合は膝の奥が痛むように感じ、痛む位置がハッキリわかりません。

膝の関節内に水が溜まるようなら、関節内に炎症がありますので、十字靱帯、半月板などの関節内の原因を疑います。膝の痛みに関しては、痛む位置を脳がうまく認識できないので、膝裏の痛みを前に感じたり、位置がわからなくなるのです。

膝の痛みの種類

鵞足炎

鵞足炎(骨膜)オレンジの位置に着く筋肉による、持続的な緊張により、骨膜が引っ張られて炎症を起こした状態です。ガニ股で歩くことでよく起こるので、50代以上でよく起こります。鍼灸施術では骨膜を引っ張る半腱様筋、薄筋、縫工筋と炎症がある鵞足部に、刺鍼することで改善します。

内側側副靭帯

青の位置に出る膝の痛みは、内側側副靭帯という内側を支える靭帯の損傷で起こります。膝を外から内に、押し込まれるような外力や、膝下を外側に引っ張られるような外力による靭帯損傷です。

バスケットやラグビーなどのスポーツで起こります。鍼灸施術は、内側側副靭帯の損傷している位置を確認して、そこに密に刺鍼します。刺鍼した靭帯は修復が早くなるので、数回繰り返して改善させます。靭帯は筋肉と比べて血管が少なく、修復も弱いので筋肉より回数がかかります。靭帯が完全に断裂している場合は、鍼灸の適用外です。手術での治療になるでしょう。

外側側副靭帯

赤い位置に出る膝の痛みは、外側側副靭帯という、外側を支える靭帯の損傷で起こります。膝を内側から押し込まれるような外力で痛めます。

内側の靭帯と比べて痛めることが稀です。事故や怪我で痛めます。位置的に、腸脛靭帯炎で出る痛みに近いのですが、圧痛の位置をよく確認すれば鑑別できます。治療内容は内側側副靭帯と同様です。

膝窩筋 足底筋 腓腹筋

膝の痛みで比較的多いのが筋肉性の膝痛です。痛む位置は、ハッキリ認識しずらく、膝窩筋と足底筋は、膝の後ろにある小さな筋肉で、腓腹筋はふくらはぎの筋肉です。

これらの筋肉は、何らかの原因で過緊張を起こし、負荷や伸ばされることで痛みを出します。確認するには、膝の後ろにあるコリコリした筋肉を軽く押して痛むようなら悪くなっています。腓腹筋も同じで、ふくらはぎを押したり掴んでみて、痛むようなら悪くなっています。軽めのマッサージで膝の痛みが軽減することも多いので、試してみてください。鍼灸治療は、膝裏の両筋肉とふくらはぎに刺鍼して筋緊張を緩和させ改善させます。

脂肪体

膝の皿の奥に痛みを感じるのが、膝蓋骨の下にある脂肪体です。これはクッションのような脂肪組織で、膝蓋骨の摩擦や、ぶつかりを軽減させていると考えられます。主に曲げ伸ばしのみで痛みが出ます。鍼灸施術は膝蓋骨の下に密に刺鍼することで脂肪体の改善を促します。

中間広筋

膝の皿の上部に鈍い痛みや、違和感を感じることがあります。これは中間広筋や内側広筋、外側広筋などの大腿骨に付着する筋肉の拘縮でおきます。ここ単独ではあまりないのですが、他の膝痛のせいで一緒に悪くなることがあります。
*自動車を頻繁に使用する生活の場合は、この筋肉が萎縮してしまい痛みや動きの制限が出ることがあります。鍼治療と運動療法の併用が改善には有効的です。

骨 関節

膝関節内に痛みを感じる、病院でよく診断される膝の痛みです。変形性膝関節症と診断され、加齢による膝の軟骨がすり減り、骨がぶつかり膝に痛みを出しているというものです。

関節内で炎症が起こるので、関節内に水がたまり、同じ動きで毎回痛みが出ます。O脚になりやすい高齢の女性に多く見られ、特に肥満の場合は、膝にかかる負担が大きくなるので起こりやすいです。

高齢の方や、膝の怪我の既往がある方以外の人は、変形性膝関節症の診断が出ても他の原因を疑った方が良いです。たまに40代50代でも、変形や骨棘が原因だと診断されていますが、ほぼ筋肉性や靭帯の鍼治療で改善します。病院でも診断が難しく、誤診も多く起こる症状なのです。関節自体に、傷や変形が起きているようなら鍼灸治療は適用外です。鍼では痛み止めにはなりますが、根本的な改善にはなりません。

半月板 十字靱帯

半月板は、骨と同じく、加齢による膝の痛みの原因になりますが、スポーツなどで痛めます。膝がこきこき鳴ったり、引っ掛かりが出る場合は、半月板の表面に傷やヒダが出来ている場合が多く、内視鏡などで原因を取り除く手術をすることが多いです。患部が関節内にある為、鍼灸施術は適用外です。

前十字靭帯 後十字靭帯は、関節内にある、膝が前後に移動しないように固定する靭帯です。スポーツによる外力で損傷することが多く、加齢で痛めることはないです。脛骨を押したり引いたりすると動いたり痛むので、すぐにわかります。これも完全に断裂していれば、オペで再腱手術が必要になります。これも関節内に原因がある為、鍼灸施術は適応外です。

膝の痛みの中には、「膝全体が痛む」「じっとしていてもズキズキ、ピリピリ痛む」などの症状の方がいます。これは神経痛による膝の痛みです。主に大腿神経外側大腿皮神経が,腰部か股関節部の筋肉で圧迫されると起こります。この場合は腰股関節に刺鍼することで改善されます。*例外として怪我したばかりの時は膝関節内外に炎症があるので、じっとしていても痛みが出ます。

科学的メカニズム

鍼治療は筋肉に鍼を刺す事で、筋肉内の血管を広げる反射(軸索反射)を起こります。

軸索反射により筋肉内の血管が拡張して、新しい血液が筋肉内に入ります。

新しい血液に含まれる酸素とATPが筋細胞に入ることにより、筋肉は緩み、筋緊張が緩和されるのです。

さらに「詳しいメカニズムについて」はこちら

元気な毎日

まとめ!

膝の痛みは、一般人が原因を特定するのは難しいです!治療者でも、話を聞くだけでは確実にはわかりません。患部を触り、テスト法をつかったり、治療後の変化を確認して、最終的な判断が出来ます。

それほど原因が多く、厄介な症状です。

なので、膝の痛みに関しては、病院でどんな診断が出ていても、出来るだけ複数の治療を行ってください!改善する可能性は十分にあるからです。

少しでも膝の痛みを改善して、元気で活動的な日々を取り戻しましょう!

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